STAX SR-L700 mk2, SRM-727A, HPS-2 を買った
何がどうした
NOTICE: STAX SR-L700 mk2 + SRM-727Aの組み合わせで使い始めてからまだ数日時点での感想
色々買った。
SRM-727A (B級品): 84,800円
HPS-2: 4,930円
SR-L700MK2: 146,520円
SRM-006tS下取り額 -43,000円
合計193,250円
before/after
- SR-407 下取り発送する直前にアークAssyが折れた… - SRM-006tS 下取りで出した 犬 どうしよう + SR-L700mk2 + SRM-727A + HPS-2
全て上流はPC - FOSTEX HP-A4
ちなみにDACも近いうちに新しいのを迎えるつもり*1。
SRM-727A
2020/05/19 到着
元々真空管に憧れがあった訳では無く、SRM-006tSを持っていたのは当時安かったから。SRS-4170のセット価格で購入して、12万円台だったか。もしセットで同じグレードの半導体ドライバーがあればそちらを選択したと思う。 とはいえ前述の通り8年も使えば愛着もあり、SRM-727Aが届く前は両方手元に置いても良いかもなぁ、と考えていた。しかしSR-407を繋げて実際に音を聴いてみると性格の違い以上に大きなグレードアップ感があった。それで手放す事を決めた。
音以外の面の改善点はこの辺り。
- 真空管交換が必要なくなった。真空管交換で何回もSTAXサポートに送ったけれど、これはかなりだるい。普通に使う上でも、次はいつノイズが出るかなぁと思いながら使うのは楽しい事では無い
- 真空管ウォームアップの20秒が無くなったのはやはりお手軽。そのぐらい待てるというのはあったけど、でも無ければないで便利
- 動作時の発熱は思ったよりは小さかった。SRM-006tSは触れていられないくらいには熱くなるが、SRM-727Aは触っていられる。それでも回路素子の寿命のためにもっと効率的に冷やせる様にしたい気はする。どうやるかは悩ましい。ただ熱いだけなら働いてる感があるので悪く無いのだが
本当は12年前に発売した、しかも最近ディスコンになった製品を2020年に買うのはどうなんだ、と思ってかなり迷った。同価格帯の半導体ドライバーは存在しないし今後発売されるかも定かで無い。SRM-D10でも良いのでは?とも考えた。結局アウトレットのB級品価格で8万円台ならまぁいいかと納得した。
ただ実際に商品が届くと、思ったより傷が多くてテンションが下がった。外装だけなら8年使った自分のSRM-006tSの方がずっと綺麗。どう扱ったらこうなるんだ。使っている時は目に付かないから気にしないことにする。
HPS-2
2020/05/19 到着
STAXの木製イヤースピーカースタンド*2。
アクセサリー | 製品情報 | STAX
今まで使っていた犬は可愛くて良いのだが、頭が斜めなのでヘッドパッドも常に斜めになる。凹凸があるので置き方によってはイヤーパッドではなく固定電極を押してしまうのではないかという怖さもあった。
今回ついにHPS-2を買った事で全て解決。His Master's Voiceでは無くなってしまったが、HPS-2はずっと欲しかったしこれでヨシ。
気になる点としては、ケーブルの付け根に負荷がかかりそうな雰囲気なこと。置き方によってはケーブルが台に載ってしまう。 もう少し高くして欲しいけど、それだと転倒リスクが大きくなるのかな。自分は今上から3クリックの所で使っている。
SR-L700 mk2
2020/06/04 到着
被るとまず装着感からして良くなっている。ケースホルダーが金属製になりアークも強くなったのは効果絶大で剛性感が全く違う。アークAssyも上等になってる。SR-407比で、頭と頬にしっかり密着する様になった。何だか普通のヘッドフォンをしているみたいだ。下を向いても落ちる気配が無い。逆に仰ぎ見ると落ちてしまうが。
SR-L700初代はアウトレットが半額くらいで今も出てるが、そちらを買う選択肢はほぼ無かった。 剛性強化によって音にも良い影響があったという話もあるが、試聴機を触るとあまりに良くなった質感にやられる。上を見ればSR-009に憧れがあるけれどその気持ちの半分は剛性感による。
届いたばかりでメンテナンスはまだだけど、イヤーパッドがはめ込み式になったのは大きい。「凸凹突起/受け部分の強度はそれほど高くありません。交換後の無用な取り外し、取り付けはお控えください。」と書かれているのは少し心配。もし破損した場合の修理費は幾らになるだろうか。*3
更に取り外し可能な"ネットホルダー"が嬉しい。内部に入り込んだ毛髪などを除去出来るとのこと。買う直前まで知らなかった。でもこれ自分でやるのめっちゃ怖くない?
他に製品本体と関係無い所では、箱と発泡スチロールと取扱説明書の質が良くなったのが地味にテンション上がる。別に音に全く関係無いしそんなこと気にするならそもそもSTAXを選ばないけど、それはそれとして嬉しい。SR-507もこんな感じだったのだろうか。それとも今世代からなのかな。
音、どうなった?
一応次の組み合わせでは聴いていて、イヤースピーカーとドライバーのどちらもグレードアップを感じられている。 「1年くらいかけて振動膜の張りが緩んで音が変わるよ」とSTAXサポートの人には何度も言われている*4し、振動膜が動くペコペコ音が聞こえてからが本番だろうか。とはいえ現時点でも概ね満足してしまっている。SR-407からの買い換えなので数世代違うし。
SRS-4170の音は勿論好きだったんだけど、シャキッとしない時があるというか、手持ちの音源でももうちょっと楽しく聴けるのでは?という思いが常にまとわりついていた。特に混み合った演奏でモヤモヤする。 新しい環境では全体的に解像感が上がって音の見通しも更に良くなった。具体的に何なのか分からないけど不安に聞こえる瞬間が全く無くなったのも満足度に大きく貢献している。軽自動車から普通車に乗り換えたみたいな。
そして具体的に替えた効果が一番分かりやすいのはボーカルの表現。SRS-4170ではボーカルの定位が他の楽器と比べて不自然にズレている様な感じがした*5。"ボーカルにスポットライトを当てる様な"みたいな表現をする人は、この辺りを気に入ってるのかな。それにしても、使っていた当時は不満に思いつつも全然気がつかなかったので面白い。これはドライバーだけを変えた時に感じたので、ドライバーの性格とグレードの違いなんだと思う。 本当は同じグレードの真空管ドライバーのSRM-007tAも家に置いて比較してみたいけど、そんなにかけるなら最初からSRM-700Sを買う。
イヤースピーカーのみで比較してみても大きなグレードアップを感じる。SR-407は全体にヴェールを被った様で、これを色っぽいと言うか明晰さを欠いていると言うかは人によりそう。他にも違いはあるけど上手く言葉には出来ない。
Classical, Jazz, Framenco, ポピュラーから数枚ずつ選んで確認した。その中で印象的だった曲を挙げてみる
rionos - ハシタイロ / 空を飛びたいと
ボーカル表現について書いたけれど、歌モノが一番言葉にし易い。
自分の持っている音源の中で、ここ数年で一番気に入っている仕上がりの1枚。自分のリファレンス音源の1つ。新しい環境で聴いて、やはりもっとポテンシャルのある録音だったのだと分かり改めて感心したと共に興奮して泣いた。
さっき書いたボーカルの定位感が変わったことでかなり理想に近づいた。声も1つの楽器として渾然一体となって聴ける。
ハシタイロ - ハイレゾ音源配信サイト【e-onkyo music】
坂本真綾 - 逆光 / 空白
こういうシャリシャリした録音はちょっと耳につきすぎるかもしれない。かといって、SRM-006tSに戻したとしても、耳に優しい代わりにモヤモヤした気持ちが戻ってくるだけなのではという気がする。
YURiKA - 鏡面の波
自分の環境で聴くと気に入らない曲の一つ。曲は素晴らしく元気な声もノっていて先行配信の時点でトップクラスにヘビロテしただけに大変勿体ない。終始ビリビリしていて、もしかして演出なのか??と思う程。念のために書くと、プチプチと入るノイズ演出ではない。ずっとビリビリしてるのは流石に違うと思うんだけどなぁ。一縷の望みを掛けてe-onkyoで正式発売版を買ったけど全く同じだった。どうしてこんな仕上げにしてしまったのか、ことある毎に不満に思う。うちの環境だと、Sennheiser IE80 + iPhoneで聴いた時が一番安心する気がする…
で、新しい環境になって不快感が増すかと思ったけど意外と変わらないかもしれない。
トスカニーニ, NBC響 - レスピーギ: 交響詩「ローマの松」「ローマの噴水」「ローマの祭り」
元々曲自体がそうだけど、演奏もぶっちゃけていて好きな1枚。だが録音が古くスッカスカで聴くのが辛い。これも鏡面の波と同様に、想定とは違って不快感が増している訳では無さそう。もしかして身体の調子が良いだけなのかな…
Gianandrea Noseda, James Ehnes, BBC Philharmonic Orchestra - Bartok: Violin Concerto No. 2, BB 117
神経質っぽさと緊張感が増してより曲の魅力を引き出せている気がする。
Gidon Kremer, Kremerata Baltica - EIGHT SEASONS
Vivaldiの四季とPiazzollaの「ブエノスアイレスの四季」が巧みな順番で収録された名盤。サントリーホールでKremerata Balticaを聴いたときの、倍音が身体に染みてくる感覚に少しだけ近づいた。 イヤースピーカーだけの比較なら、SR-407でも大きな不満は出ないかもしれない。ドライバーの影響が大きい。
追悼 SR-407
今回何故SR-407を下取りに出さなかったかというと、出す直前にアークAssyが割れてしまったから。
8年もってくれたので十分ではあるけれど、捨てるには惜しい。でもわざわざSR-L700 mk2と繋ぎ替えるのは面倒。
STAX Storeで販売しているSR-407向けアークAssyは7,700円。
SR-404、407、Lambda Nova Signature用アークAssy | STAX
対してフジヤエービックの下取り上限額は10,000円。恐らくイヤーパッド劣化か何かで数千円減額される気がするので、自分でアークAssyを交換しても多分マイナス。どうしたもんか。
お別れの挨拶
8年間ありがとう、SRS-4170
SRM-006tSは真空管交換で手が掛かる子だったけれど、大好きだったよ。
SR-407も発売から10年近く経つけれど、色褪せない魅力があるよね。
ようこそSR-L700 mk2 + SRM-727A
長い付き合いになると良いね。
追記 SR-L700mk2 初期不良につき新品交換 2020/06/20
使用から12日目の日に左チャンネルのボリュームが右チャンネルより顕著に小さくなった。 問題範囲の特定の為に色々試したが、SR-L407を繋げると正しいバランスで再生された。SR-L700 mk2の問題とほぼ確定。 念のためサポートにメールして他に試すべき事があるか確認してからSTAXサービス課に修理願い品として送った。
結果「右チャンネルの音圧レベルが低い為」新品交換になった。
自分の検証だと左チャンネルが小さかったので不思議だけどまぁヨシ。